小樽と季節の花
小樽では主に5月が花のシーズンとなります。
ツツジ、藤、ライラック、牡丹や芍薬などの花が一斉に咲く季節です。
春の季節を中心に、代表的な花の鑑賞スポットをいくつかご紹介しますので、ぜひ、小樽観光のコースに花の名所も組み込んで楽しんでください。
◆ 水芭蕉
水芭蕉は、比較的寒冷な地域の湿地帯などに自生している植物です。
有名な「夏の思い出」の歌詞の中に出てくるため、夏の植物だと思っている方も多いと思いますが、北国では春を象徴する植物のひとつに数えられています。小樽市内にある長橋なえぼ公園の中にも小規模ながら群生している湿地があり、ここの水芭蕉の芽生えは、小樽市民が毎年楽しみにしている春の風景です。
水芭蕉には白い花びらのようなものがありますが、実はこれは葉が変形したもので、仏炎苞と呼ばれるものだそうです。実際の花は、その仏炎苞に包まれている真ん中の細長い形状の部分に穂状に集まっています。
長橋なえぼ公園では、水芭蕉の他にも色々な春の訪れを感じることができますので、ぜひ一度、春を探しに出かけてみてはいかがですか?ただ、雪解け水で歩道がぬかるんでいる場合がありますので、お出かけの際には足元にお気を付けくださいね!
◆ ライラック
小樽のみならず、北海道のあちこちで見かけることができるライラックも、この季節を彩る木花として有名です。フランス語では「リラ」と呼ばれているので、この名称で覚えている方も多いのではないでしょうか?
白花のライラックもありますが、やはりライラックと言えば赤みのある「紫色」です。この色は、ラベンダーやルピナスと共に、北海道をイメージする色として、北海道新幹線H5系のライン色にも使われています。
ライラックが咲く頃に急に寒くなることを北海道では「リラ冷え」と呼びます。いわゆる、「寒の戻り」のことです。
リラ冷えという表現は、1960年代から俳人の故 榛谷美枝子さんがご自身の俳句の中で季語のように使いはじめ、北海道出身の作家・故 渡辺淳一さんが1970年代に発表した「リラ冷えの街」という小説で一般に広まりました。北海道のこの時期の急な冷え込みを表現する美しい言葉です。
ライラックはヨーロッパ原産で、涼しく乾燥した土地を好む木なので、北海道の風土にも適していたようで、公園や民家などにもたくさん植えられています。花の色は紅紫色のものが最も多く、白やピンク、青みのある藤紫色などの花もあり、5月下旬から6月にかけて比較的長い期間、可憐な花を咲かせます。
2016年に開業した北海道新幹線の車体のラインにも、ラベンダー、ライラック、ルピナスなどから想起された紫色(彩香パープル)が使われたように、ライラックは北海道を代表する花の1つです。小樽市内でも、街角や民家の庭先などあちこちに咲きますので、これからの季節に小樽にお越しになる方は、ぜひライラックにも注目してくださいね。また、リラ冷えの寒さにも充分備えてお越しください。
◆ 白樺の木
本州では標高の高い高原などで見られる白樺ですが、北海道では平地にも生えているお馴染みの木です。白樺はシラカンバとも呼ばれ、小樽の「市の木」にも指定されています。市内では、小樽公園にある白樺林が有名ですが、小樽天狗山近くを通る小樽環状線から旭展望台へと抜ける道の途中にも白樺並木があり、いずれも「北海道らしい景色」を撮影することができるスポットです。
白樺は、青々とした葉っぱと白い幹のコントラストが美しく、爽やかな夏のリゾートをイメージする方も多いと思いますが、室内装飾などには冬の雰囲気を演出するアイテムとして多用されています。
また、白樺だと思っている木が、実はダケカンバだったというのもよくある勘違いです。葉っぱや木の様子がよく似ているので見間違える人も多いのですが、幹の樹皮がめくれて赤茶色く、枝が白っぽいのがダケカンバで、幹が白く、枝が黒っぽいのがシラカンバ(白樺)です。また、白樺の幹には楔を打ったような黒っぽい模様があるのも特徴です。
爽やかな印象の白樺ですが、実は北海道では花粉症のアレルゲンとしても知られています。杉や檜が少ない北海道では、白樺の花粉アレルギーに苦しんでいる方が多いので、花粉が飛散する春先は要注意です。
夏も冬も、白樺はとても北海道らしいシーンを演出してくれるので、ぜひ小樽旅行の際に、写真に納めてみては?