旧日本郵船小樽支店
2018年11月から、国の重要文化財でもある旧日本郵船株式会社小樽支店が長期休館となりました。30年ぶりに耐震補強を含めた大規模な保全修理工事を行うためで、工事は2025年1月までの予定です。
しばらく見学できないので、休館期間に入る前に撮影した画像を使って建物をじっくりご紹介します。
◆ 旧日本郵船(株)小樽支店の概要と歴史
1904年(明治37年)着工、1906年(明治39年)10月に落成したヨーロッパルネサンス様式の石造2階建建築です。
正面から見ると左右対称の構成となっていて、外壁には小樽天狗山産軟石や登別産中硬石が使われています。石造りなので重厚な雰囲気がありますが、細部に繊細さも感じられる外観です。設計したのは工部大学校造家学科(現東大工学部)の第一期生の佐立七次郎(1856~1922)で、明治30年頃より日本郵船の建築顧問となって各地の支店建築に携わっていました。
当時の小樽は、北海道開拓事業の拠点として商業港湾機能を拡充しつつあった頃で、この旧日本郵船小樽支店と同じように、一流の建築家たちが技術の粋を集めて建てた建築物がたくさん建てられました。
日本郵船株式会社小樽支店は1954年(昭和29年)まで営業し、1955年(昭和30年)に小樽市が建物を譲り受け、翌年から小樽市博物館として再利用され、1969年(昭和44年)3月には、明治後期の代表的石造建築として国の重要文化財に指定されました。
その後、1978年(昭和53年)には屋根の葺替工事、1984年(昭和59)年10月から1987年(昭和62年)6月までは外観・内部も含めた全面修復工事が実施され、往時の姿がよみがえりました。